〜ノルウェー国立バレエのプリンシパル
西野麻衣子の感動のドキュメンタリー〜
★ 2016年2月20日(土)
ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBIS GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

 近年、日本人ダンサーのレベルの向上は著しく、世界各国のバレエ団における活躍ぶりを耳にするのは珍しくなくなった。この映画の舞台は、ノルウェー国立バレエ団。1957年の創立で、歴史は半世紀ほどと新しいが、約65名の団員を抱えるプロのバレエ団である。

 映画は、同バレエ団で東洋人初のプリンシパルとなった西野麻衣子のキャリアと出産の間で揺れ動く、一人の女性としての姿を追った感動のドキュメンタリーである。

 監督は、ノルウェーの女流オセ・スベンハイム・ドリブネス。麻衣子の舞台に魅了されたのがきっかけで映画は制作された。

 マイコ(=踊る子供)という名が表すように、幼少期から踊りに夢中だった麻衣子。大阪に生まれ、橋本幸代バレエスクールに学ぶ。プリマを夢見て、96年15歳で英国ロイヤル・バレエ・スクールに留学し、99年にノルウェー国立バレエ団に入団。2005年25歳でプリンシパルとなる。これまでに踊った主なレパートリーは、『白鳥の湖』や『ジゼル』『ドン・キホーテ』など数々の古典バレエのほか、『オネーギン』のタチヤーナ、キリアンの『べラ・フィギュラ』、バランシン、フォーサイス、ウィールドン作品など実に多彩だ。

 プリンシパルに昇進して数年後、オペラハウスの映像と音響の総監督を務めるニコライと結婚。やがて子供に恵まれ、しばらく舞台に立ち続けるが、7週目に芸術監督のイングリッド・ロレンツェンと周囲に妊娠を告げる。大阪に里帰りし帰国すると、バレエ団にはヒューストンから招聘されたソリストが着任。麻衣子の胸中は複雑だ。そして遂に長男アイリフ誕生。今度は子育てとダンサーとしてのキャリアをいかに両立させるか。麻衣子に新たな試練が待ち受ける。

 復帰の舞台は『白鳥の湖』と決まった。プリマ・バレリーナにとっての最大の試金石であるこの作品を以前のように踊りこなすのは並大抵ではない。初日まであと7ヶ月。幸い、夫君のニコライが育休をとることで、強力な支援を得られることになった。

 それでもかつての身体バランスを取り戻すのは容易ではない。レッスン場にベビーカーを持ち込んでの練習。日本でもおなじみのアンナ=マリー・ホームズやオルガ・エヴレイノフとのリハーサル・シーンも垣間みられる。感覚が変わってしまい、以前はできた黒鳥の32回のグラン・フェッテが回りきれないもどかしさ。そして迎えた初日、果たして麻衣子は・・・。

 この映画は、かつてはタブーであったバレリーナの出産という問題をクローズアップ、キャリアの中断にもつながりかねない出来事をプラスに変えた日本人プリマの情熱に迫り、見る者に勇気と希望を与えてくれる。夫君の支援のほかに、理解ある両親、とりわけ母親の衣津栄さんの物心両面でのサポートが温かく感動的だ。

 近いうちにぜひ日本でもその晴れやかな舞台姿を披露してもらえたらと願ってやまない。

 監督:オセ・スベンハイム・ドリブネス/出演:西野麻衣子
 公式サイトhttp://www.maiko-movie.com/
 (2015年/ノルウェー/70分/英語・ノルウェー語・日本語)
 配給:ハピネット/ミモザフィルムズ