大人からのバレエ推進委員会監修

第15回 Kayaさん

第15回

何か体を動かしたいという理由でバレエを再開

「こんなに熱心にやるのなら、バレエをやめさせなければよかったかしら」 大人になって出演した何回目かの舞台のあと、母はこう言いました。

私がバレエを始めたのは小学校3年生のとき。でも当時はなんとなく友達につられてやらされている感じで、ときどき稽古をさぼったりしていました。そんな私を見て母は、本気でやらないのならと、バレエ教室をやめさせたのでした。 それでも、中学で選んだ部活は体操部。床運動が得意種目になりました。高校、大学では新体操部に入りました。それもサークルではなく、体育会です。今思えば、子どもの頃に習ったバレエがずっとベースになっていたのです。大学を卒業して就職したあとも、何か体を動かしたいという理由でバレエを再開したのは自然なことでした。

大人になって、今度は自分の意志で通うようになったバレエに、私はどんどんのめり込んでいきました。努力したぶんはっきりと目に見えて上達に結びつくことが体育会系の性根に合っていたのと、何よりよい友達に恵まれたことが大きかったと思います。  

それまで大学の新体操部では、部員数が少ないうえにクラブ出身の選手とは練習場所が違っていたため、一般部員の私は、毎日片道2時間の道のりを通っては、コーチもいない体育館で、たった1人練習する日々を送っていました。

ですから、バレエでは指導者がいて一緒に稽古する人がいるだけでうれしかったし、厳しい指導もあったけれど、一緒に乗り越えて舞台をつくる友達がいれば、それもすぐに喜びに変わりました。出会ってから15年近く経った今、それぞれに稽古場が変わったり、身辺は少しずつ変化しているけれど、友情は変わらずに続いています。

 

人との出会いが、毎日を楽しく豊かに

一時、足の故障や仕事の都合で稽古から遠のいた時期もありましたが、そのあとに出会ったバレエ教室は、体験レッスンに訪れたときから「ここだ!」という何か運命的なものを感じました。自分でも不思議なほどすんなりと馴染んで、居心地のよい教室。そこでよき指導者に巡り会い、また新しい友達にも出会うことができました。

私は音感もセンスもないし、体の条件も、バレエにまったく向いていないけれど、たった一つ向いていたことがあるとすれば、誰が見ていなくても1人でコツコツ練習することが苦ではない(むしろ好き)ということかも? そんな私の性格を見抜いて熱心に指導してくださる先生のおかげで、舞台を重ねるごとに「何歳になっても上達はできるんだ」「もっと上をめざそう」と思うことができます。そればかりか、プロの公演にダンサーとして出演させていただくという貴重な機会までいただきました。大人になってバレエを再開した当時は、そんなときがくるなんて夢にも思いませんでした。なんて幸せなことでしょうか!

こうした、人との出会いが、毎日を楽しく豊かに広げ、当初は想像もしなかったことを現実にしてくれました。

「大人がなぜバレエを踊るのか?」 その答えは千差万別でしょうが、私はたぶん「バレエを通していい人とたくさん出会えるから」と答えるでしょう。もし、子どものときからやめずに続けていたとしたら、どこかでバレエを嫌いになって、その後の人生はバレエと関わらなかったかもしれません。大人になって自分の意志で始めたからこそ、この出会いに恵まれたのだと思っています。   だから、今の私は自信をもって母に言うことができます。

「今こうしてバレエができることが幸せだし、私の人生にバレエがあってよかった」と。