大人からのバレエ推進委員会監修

第6回 鈴木順子さん

第6回

バレエ歴30年 (オーロラバレエ)

今から8年程前、大きな病気を経験

子どもの頃からバレエを始めたという鈴木順子さん。結婚して妊娠したあとも臨月くらいまではレッスンを続けていたそうです。妊娠したらバレエはできないでしょ!? と思う人もいるかもしれませんが、妊娠は病気ではありませんから、経過が順調で、教師や周りの生徒さんの理解を得られれば、安定期から臨月くらいまでレッスンすることも可能です。

 大変なのは、出産してから。鈴木さんもやはりお子さんが生まれてから2歳くらいまではバレエを休んでいました。2歳くらいからは、育児の気晴らしもかねて、託児室のあるバレエ教室に週に1回通うようになりました。 「そのときは、同じようにお子さんを連れて来ている人がいたり、保母さんもつけてくれて、本当にお世話になりました」 “バレエは続けたいけれど、子どもに手がかかるので無理”と断念するバレエ愛好者も多いはず。でも、数はまだまだ少ないものの、託児つきのレッスンもあります。スポーツクラブやカルチャーセンターなどのほうが、比較的そうした支援が受けやすいようです。

  その後、オーロラバレエに通うようになった鈴木さんですが、お子さんが小さいときよりも、幼稚園に入ってからのほうが、お迎えの時間に追われたりと苦労が多かったそうです。 「とくに発表会のときはレッスンが終わってからリハーサルなので、先にちょっと踊らせてもらって急いで帰ったりしていました」

  そうして周囲の協力も得ながら、うまくバランスをとって子育てとバレエを両立していた鈴木さんですが、今から8年程前、大きな病気を経験しました。 「突然、首が痛くなって、痛み止めもペインクリニックの麻酔も効かず、数秒も立っていられないくらいになってしまったんです」   総合病院で頸椎症との診断を受け、入院。しかし入院して点滴を打っても痛みは治まりませんでした。首の神経を傷めたようで、体を起こすとビーンと痛みが走るため、寝返りも打てない状態。トイレも行けず、食事も喉を通りません。痛みと、いつ治るかわからない不安で泣きどおし…。  とにかく入院しているのがいやで、1週間で退院はしたけれど、家でも寝たきりの生活が3ヶ月続きました。その間、旦那様に車で送ってもらって、紹介してもらった整体院に通ったところ、頸椎の骨がずれているということで、それを真っ直ぐに直す施術をして徐々に改善していきました。

  しかし、骨を真っ直ぐにしても、一度傷んだ神経はなかなかもとにもどりません。4ヶ月後くらいからバレエにも復帰できるようになったけれど、しばらくは首を回したり反ったりすると痛みが走り、バレエでいつも当たり前にやることが、当たり前ではないことに気づいたのでした。 「みんなはよくなったねと言ってくれるんですけど、自分では全然思うように動けなくて。お医者さんからも、それは後遺症みたいなもので、仲良くおつきあいしていくしかないと言われて、ずっとそうなのかなとあきらめていたんです」  

 

今は、がんばれるのがうれしいんです

第1回 それから3〜4年経過した今は、幸いその痛みも徐々になくなってきたそう。バレエでストレッチしたり、体を正しく整えることはリハビリ的な効果もあったのではないかと容易に想像できます。  

それでも、神経のせいなのか、去年は左足の指先が動かなくなって歩けなくなり、今は右の股関節が痛みます。あちこち不調があるのは、多くの大人バレエ愛好者も同じでしょう。 「バレエはお休みしたほうがいいかなと思ったこともあったんですけど、休んでても痛いことは痛いので、同じ痛いんだったら楽しいことをやったほうがいいかな、と思って」と笑う鈴木さん。今は整体で整えたり、ヒアルロン酸を飲んだりしてうまくおつきあいしながら、またバレエを楽しめるようになりました。 「先生はたくさん注意してくださるので、できないかもしれないけど、気持ちだけはそこに近づくようにやってみたい。今は、がんばれるのがうれしいんです」

 子どもの頃からずっと生活の中にバレエがあった鈴木さんにも、「子育てのためにバレエはできなくてもしょうがないかな」と思ったり、「ずっと寝たきりだったらどうしよう」と思うときがありました。子育てで、病気で、バレエを離れた時期があったからこそ、今はバレエができるだけで一層うれしく、幸せに感じられるようになったといいます。もしかしたら、それを知るために必要な経験だったのかもしれません。