大人からのバレエ推進委員会監修

第4回 小松惠美子さん

バレエ歴6年 (伊与田バレエスタジオ)

第4回
年齢に甘えられない緊張感がとてもいい

「年齢に甘えられない緊張感がとてもいいんです」。「モモの会」という障がい者の余暇活動グループの代表も務める、快活さと気品にあふれた小松さん。 小松惠美子さんは、90歳のお母様と、 重度知的障害のある娘さんと暮らしながら、バレエを続けています。 「初めて見学したときには“素敵な世界。でも私にはとても無理”と思いましたけど、伊与田先生が大丈夫と勧めてくださって。 あの言葉がなかったら帰ってしまっていたかもしれません。また、エンゼルクラスの存在がとても心温かくいい雰囲気で、スタジオが好きになりました」 そうして勇気を出して踏み込んだバレエの世界は、様々な気づきのスタートでもあり、自分自身と向き合うことでもありました。 普段使わない体の筋肉を伸ばしたり、意識を体に集中することが、心と体にとてもいい影響を与え、娘さんの行動障害をイメージするのにも役に立ったそうです。 「バレエを始めて、自分の体なのに思い通りに動かないことがよくわかりました。それが的確なご指導のもとで稽古を重ねることによって、できるようになっていくでしょう。 行動障害とはそもそも脳の指令が体にうまく届かないことで、ゆっくりの動きができないのはこういうことだったのか、と…。積み重ねることの大切さから、それなら娘をどういうふうに導けるかしらと考えたり…。」  舞台を観に行く楽しみも増えたり、それを通して友達もできたりと、スタジオに通うだけではない広がりも生みました。歴史や文化、音楽とバレエ、物理学的に見たバレエ…。どんどん興味も深められます。

 

バレエは人生をより豊かに楽しくする生活のスパイス

第1回 そして昨年、学生時代の友人を訪ねて渡米した際には、ニューヨークに一人で行き、ブロードウエイのオープンクラスを受けるまでに。 「性別も、国籍もいろいろで、誰でもウエルカムなんです。目の見えない方も一緒に受けたんですよ。 バレエは言葉や文化のハードルを越えて世界に通じるもの、本当にインターナショナルで本当にバリアフリーだなと思いました」 ただの旅行では得られない緊張感、充実感が得られ、忘れられない体験になったそうです。 それも、成人初級者にも著名な外国の先生のレッスンがあるなど、日頃のスタジオでのレッスンがあったからこそ。 インターナショナルな伊与田バレエスタジオならではの「夢の体験へのいざない」でした。 「バレエは普段の生活とは全く違う非日常の世界。バレエは私の人生をより豊かに楽しくする生活のスパイスです。 私にはピリッと辛いスパイスですが、よく利いています」穏やかななかにもバイタリティ溢れる小松さん。 こんなふうに生き生きと明るい気持ちでいられたら、それは家族にも伝わります。 「自分がいいと思えると、みんなも認めてくれます。発表会の通し稽古も主人が理解して出してくれますし、息子は発表会を見て、母親としてでなく、女性としてこういう面があるのかって感じてくれたみたいです。 娘のぶんも、いつも“あの子だったらこう向くかな”とか“ママがこうやったらどういうかな”とか、一緒にきて踊っているような気持ちなんですよ」 娘のぶんも」。その言葉の向こうに、たくさんの思いが込められているように感じられました。 「居場所があって、やるべきことがあるので無理はできないですけど、これからも健康で長く続けたいです」と笑う小松さん。 最後に「もっと早く知っていたらよかったかもしれないけれど」と、大人から始めた多くの人が口にする言葉をつなぎました。すぐに、それは「バレエに出会えたそのことが幸せ」の裏返しなのだとわかりました。