大人からのバレエ推進委員会監修

中村みちえコラム

中村みちえ

翻訳家

バレエ愛好家

著書「ニューヨーク ジョフリー・バレエスクール 大人からのバレエ」

 第10回『ヌレエフvs.ロキシーミュージック』

「ペトルーシュカ」と「牧神の午後」

いきなりヌレエフにはまってしまいました。正確には、彼の「ペトルーシュカ」と「牧神の午後」に。ヌレエフといえば、マーゴ・フォンテインとなにか一緒にやっていた濃い顔の人、ぐらいの知識しかありませんでした。 というわけで、最初にこれを観たとき、え、これがあのヌレエフという人なの、と驚きました。

このヴァレンティノと
あのペトルーシュカが同一人物だなんて

それにしても、このヴァレンティノとあのペトルーシュカが同一人物だなんていまだに信じられません。ひとつの役を演じるたび、ヌレエフはヌレエフでなくなり、その役柄になりきってしまうのでしょう。 もっと驚いたのは、牧神。ニジンスキー以外には絶対ありえないはずだと思っていたのに。

ただただ美し〜い

もう、ただただ美し〜い。これを観ると、牧神=好色な半獣の中年おやじ、というイメージは見事にくつがえされてしまいます。 ニンフの薄衣を手にして、にたーっと笑うところも、かっかと笑うところも美しいですが、なによりラストの動きと表情の美しさときたら、言葉にしようもありません。

あんなにきれいなポワントのエシャッペ

これを観てなぜかふと思い浮かんだのが、ロキシーミュージックの「アマゾナ」です。先ほどの、言葉にしようもない美しさ、を音楽で表したらちょっとこんな感じということで、同じ70年代のお耽美仲間として、載っけておきます。 ペトルーシュカに話を戻すと、バレリーナ役も断固この人じゃなきゃ困るんです。まるきり人形にしか見えないし、あんなにきれいなポワントのエシャッペを見たのは初めてです。 彼女はノエラ・ポントワといい、往年の大スターにしてミテキ・クドーのお母さんであることを、バレエの先輩から教わりました。 もうひとつ言うと、最初に登場する人形遣いもやはりこの人。むやみに怪しげな人物では困るんです。

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